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7.マルチリンガルな仕事
2019/01/14

7-1.通訳
7-2.翻訳
7-3.語学教師
7-4.ホテル、観光
7-5.貿易、商社
7-6.ブリッジSE

7-1.通訳



マルチリンガルな仕事の代表と言えば、やはり通訳でしょう。特にスポーツの国際大会のインタビューなどで選手の横に立って外国語を駆使して選手をサポートする姿は誰もが憧れるのではないでしょうか。
通訳には大きく2種類あり、1つは話者が話している最中から通訳を始める「同時通訳」、もう1つは話者が話し終えてから通訳を始める「逐次通訳」です。外国語が話せる人だったら通訳ができると思っている人が多いかもしれませんが、実は外国語が話せることと通訳ができることはイコールではありません。マルチリンガルの頭の中は1つの言語を話している時はその言語でものを考えていることが多く、別の言語に翻訳をしていることはあまりないと思いますので、とっさに別の言語に切り替えて話しをするのは難しいと思います。この言語切替作業は訓練が必要で、プロの通訳者は大体、専門の教育機関で訓練を受けている人が多いです。または両親が国際結婚者といったマルチリンガルな環境で育った人は自然と訓練されているので通訳ができることもあります。
私は同時通訳はできませんが、逐次通訳であれば今まで何度か仕事でしたことがあります。日本の会社とアメリカの会社の間に入って、会議通訳(日本語ー英語)を2時間とかしたりしましたが、まあ疲れますね。話の内容はIT関連でしたので、なんとか通訳にはなっていたと思いますが、どちらかというと話者の話している内容を逐一メモして忘れないようにするのが大変でした。こうなるとマルチリンガルの問題ではなくなってきそうですが。。。あとは、たまに台湾に来る知人のために、ちょっとした通訳ガイド(日本語ー中国語)をしたりしています。こちらはあまり難しい事ではありません。会議とは違い、話す内容も濃くないですし、買い物とかがメインになるため、決まったフレーズを使って通訳するだけです。会議通訳であれ、通訳ガイドであれ、行った通訳に対し感謝されると嬉しいもので、ちょっとした充足感があります。もしかしたら自分は通訳に向いているのかとちょっと思う時がありますが、多分プロ通訳者はこんな充足感よりも苦労の方が数倍多いような気がしますので、今は憧れだけに留めておくことにします。。。
 

7-2.翻訳



通訳の次に思い浮かぶマルチリンガルな仕事は翻訳です。小説、技術書、説明書、契約書、雑誌、ニュース、映画字幕、最近ではYouTubeの字幕など、いろいろな国の人と情報を共有するために翻訳は今も必要不可欠だと思います。ただし、最近ではGoogle翻訳などといった機械翻訳の精度も上がってきており、人が最初から最後までを手作業で翻訳する時代から変わりつつあると感じます。が、どの時代になったとしても最終的には人がチェックするしかないかなと思います。
翻訳については、現在私は日本の会社向けにアメリカのサービスの問い合わせ対応の業務も行っている関係で、毎日のように日英、英日の翻訳業務を行っています。相手の意図をなんとかして上手く伝えるためによりよい言葉を選んだり、上手く敬語を使ったりと、ある程度の工夫をしながら翻訳しています。時間をかければ精度を上げることもできますが、時間をかけすぎるのも良くないため、妥協も必要です。尚、翻訳は通訳と違って、その場で感謝されることはありません。ですので、充足感はあまりないかも知れませんが、黙々と訳を進めるのが好きな人にはあっている仕事でしょう。私はどちらかというと通訳の方が好きですね。こういうと翻訳家に怒られそうですが。
 

7-3.語学教師



外国語を教える仕事もマルチリンガルな仕事の1つです。一番多いのは多分英語教師でしょう。教え方には大きく2種類あり、外国語をその言語で教える直接教授法、外国語を別の言語で教える間接教授法があります。留学では前者が、学校や会話教室では後者が主に使われます。語学教師になるには大学の専門課程を卒業するのが主流かと思います。外国語を話せることと外国語を教えることは全くことなることです。日本人が日本語を話せるからといって日本人が皆、日本語教師になれるわけではないことと同じです。教授法を知っていて、かつ教育実習もそれなりに必要です。
私は20代の時に日本語教師に少し興味があって、アルクの通信教育で勉強していたことがあります。日本人であれば形容詞と形容動詞といえばどんな品詞かわかりますが、外国人学習者は形容詞を「イ形容詞」、形容動詞を「ナ形容詞」として覚えます。外国人にとってわかりやすい方法で教えていく、こういった教授法は重要だと思いました。結局、日本語教師の勉強は途中で諦めてしまいましたが、新しく学ぶ事が多く、結構楽しかった記憶があります。労働人口が減少していく中でその問題解決のために移民を受け入れようとしている日本、今後ますます日本語教師の需要が大きくなっていくと思います。また勉強を再開しようかなとふと思う時がある今日この頃です。
 

7-4.ホテル、観光



外国人観光客が年々増加している日本ですが、ホテル、観光地の飲食店やお土産屋などはそういった外国人観光客と英語などで会話することが多いと思います。都市部では外国人向けのインフォメーションセンターが至る所にあり、数か国語で対応しているところもあります。インバウンドの需要はこれからも増えていくことが予想されますので、外国人観光客に対し外国語でおもてなしする仕事はこれからも必要とされると思います。今まで外国語を話せる人はある一定の人に限られていたかも知れませんが、今後は特に街の飲食店などでは片言でも英語が話せる必要性が出てくるでしょう。
また、マルチリンガルな観光業のプロフェッショナルとしては通訳ガイド(通訳案内士)があります。外国人観光客に対し通訳や観光案内をする仕事で、語学関連で唯一の国家試験である「通訳案内士試験」に合格した人だけができる仕事です。しかし、昨今の外国人観光客の増加の影響で通訳ガイドが不足してきたため、最近法律が改正され通訳ガイドは無資格者でもできるようになりました。質の高いサービスを求める場合は有資格者が対応し、格安のサービスを求める場合は無資格者が対応するといった二極化が進むことが予想されます。
インバウンドの需要増加で国内観光業も今や立派なマルチリンガルな仕事ですね。
 

7-5.貿易、商社



海外の商品を日本へ輸入もしくは日本の商品を海外に輸出する貿易業や商社は、様々な国と取引を行うため必然的に外国語能力が必要とされます。また、こういった会社は海外に支店や子会社を持っていることが多く、駐在員として海外で仕事をすることもあります。そのため、商社に入社する人は海外勤務を志望している人や語学が多能な人、留学経験がある人や帰国子女が多いと聞きます。また、ある商社では海外留学制度があり、会社が率先してグローバルな人材を育成しています。私が大学時代にフランスに語学留学していた時、社費で留学している商社の方にあったことがあります。その方は20代後半くらいで英語が堪能、フランス駐在になったためにフランスの語学学校に来ている方でした。既に社会人で他の留学生と比べて金銭的に余裕があるのか、フランスで自動車を保有していました。フランス語が仕事で必要なので貪欲に勉強されていましたね。そのため、フランス語能力の進度が速かったと思います。
このように、貿易業や商社は昔からあるマルチリンガルな仕事で、特に海外取引や海外駐在を希望する語学堪能者が多い仕事です。
 

7-6.ブリッジSE



IT業界ではソフトウエアの開発を人件費が安い中国や東南アジアの国々に委託することがよくあります。そういった時に日本と現地の橋渡しを行う人を「ブリッジSE(System Engineer:システムエンジニア)」と言います。ブリッジSEはソフトウエアの技術的なスキルに加え、プロジェクト管理スキル、外国語でのコミュニケーションスキルといった能力が要求され、特に外国語で現地のエンジニアと意思疎通を行う点でマルチリンガルな仕事です。開発技術よりも、現地の文化や言葉を理解し、いかに円滑にコミュニケーションを図っていくかが大事です。理系と文系、両方のスキルが必要とされ、プロジェクト期間中は現地に駐在したり、そうでなくても頻繁に現地に足を運んだりと、グローバルな仕事でもあります。
私は開発系のエンジニアではないのですが、台湾のソフトウエアを日本向けにカスタマイズするために台湾のエンジニアに要件を伝えたり、スケジュールを管理したりといったブリッジSEっぽいことを以前にしたことがあります。その時は英語でやりとりをしましたが、英語でのコミュニケーション能力がとても鍛えられたことを覚えています。人間は必要に迫られると成長する生き物ですね。また、考え方の違いや商文化の違いを理解し二国間の間に入りその違いをいかに埋めるかが重要であることを感じました。
インターネットが普及し、グローバルな社会となった現在、IT業界でもこういったマルチリンガルな仕事が増えています。

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