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6.言語の難易度
2018/11/19

6-1.難易度の定義
6-2.日本人にとって難しい言語、簡単な言語
6-3.日本語は難しい言語か

6-1.難易度の定義



英語以外の外国語を習得することが日本では比較的珍しいのか、「〇〇語って難しい?」とよく聞かれることがあります。質問者がどういった答えを期待しているのかを想像しながら、「そうですね、〇〇語は文法は比較的簡単ですが、発音が難しいです。」といったように回答しています。何をもって言語の難易度をはかるのか、その定義は人によってまちまちかも知れません。私の場合は、文字、文法、発音といった要素で難易度を定義しています。この3つの要素を他の言語と比較させることにより、難易度が決まると思っています。例えば、英語とフランス語を比較してみましょう。文字はどちらもアルファベットですので、難易度はほぼ同じです(フランス語には英語にはない、OとEを組み合わせた文字やCの下に髭のようなものがある文字、アクセント記号が付いた文字などがありますが、難易度としてはほぼ同じと一旦みることにします)。次に文法ですが、フランス語には全ての単語に性別があり、形容詞も名詞の性によって変化します。また、動詞には活用があり、人称により変化します。これらは英語には見られません(厳密に言いますと英語の動詞の活用には三人称単数のSのみが存在します)。文法は明らかにフランス語の方が難しいです。そして発音ですが、母音と子音の数については英語もフランス語もそんなに違いはないと思いますが、英語が比較的不規則に発音することがあるのに対し、フランス語はとても規則的にです。そういった意味では、発音は英語の方が難しいと思います。結果としては英語とフランス語の難易度は同じになりました。あとは学習者がこれをどうとらえるかだと思います。文法習得が得意で、発音習得が苦手な人にとっては、英語がフランス語よりも難しいと感じるかもしれません。また、その逆もしかりです。
私はこういった感じで、言語の難易度を定義しています。皆さんはどのように難易度を定義していますでしょうか。
 

6-2.日本人にとって難しい言語、簡単な言語



言語の難易度の定義は人それぞれ違うかも知れませんが、日本人にとって難しい言語、簡単な言語とは何でしょうか。先ほど取り上げた、文字、文法、発音という3つの要素で考えてみたいと思います。

文字
日本語は、ひらがな、カタカナ、漢字の3種類の文字を使う世界でも比較的珍しい言語です。漢字は日本語にまだ文字が無かった時代に中国で使われていた文字を借用したものです。また、ひらがな、カナカナはその漢字から派生した表音文字です。日本人にとってはこの漢字が使われている言語「中国語」が文字の側面から簡単な言語と言えそうです。日本人であれば2000語くらいは漢字を既に知っていますし、漢字の良いところは表意文字である点です。漢字1つ1つに意味がありますので、漢字を知っている=単語の意味を知っていることになります。
逆に難しい言語は何になるでしょうか。日本語の3種類の文字とアルファベット以外の文字を使用している言語(韓国語、タイ語、アラビア語、ビルマ語、カンボジア語など)は、文字の側面では難しい言語になるかも知れません。

文法
日本語は言語学的には「膠着語」と言われる言語で、単語の後ろに助詞(てにをは)を付けて、その単語の種類(主語、目的語など)を意味づけます。前置詞ならぬ「後置詞」を使用します。助詞により単語の種類が決まりますので、語順はあまり重要視されません。このような言語は日本語の他に、韓国語、モンゴル語、フィンランド語、トルコ語などがあります。これらの言語は文法的には日本人にとって比較的簡単な言語かも知れません。逆に難しい言語は、「膠着語」ではない言語(「屈折語」と呼ばれる欧米諸語や「孤立語」と言われる中国語など)になるかと思います(ただし、中国語は「前置詞がある」「動詞が主語のすぐ後ろに置かれる」以外は、割と日本語の語順に近いものがあり、そこまで難しいとは個人的には思えないです)。

発音
日本語は母音が5つであり、巻き舌音も反り舌音もありません。また英語のFやVのような唇歯音も、THのような音もない、割と簡単な発音の言語です。母音が5つという意味では、スペイン語も母音が5つで、発音的には簡単な言語と言えそうです。逆にその他の言語は日本語よりも母音が多かったり、特別な音があったりと、難しい言語だと思います。その中でも、声調(TONE:トーン)がある言語(中国語、ベトナム語など)は音の高低で意味が変わるので特に難しいと思います。
 

6-3.日本語は難しい言語か



テレビで外国人が流暢な日本語を話しているのを見たりすることがよくありますが、外国人にとって日本語は難しい言語なのでしょうか。これもまた、文字、文法、発音の3つの要素で考えてみたいと思います。

文字
大体どの国の言語も文字の種類は1つですが、日本語は、ひらがな、カタカナ、漢字の3種類があり、明らかに外国人にとっては難しい言語でしょう。且つ、漢字には音読み、訓読み、当て字など、読み方も多く、これらは更に外国人を悩ませていると思います。ですので、日本語を流暢に話せるのに漢字が書けない、もしくはローマ字しか書けないという外国人は結構いるようです。ただし、中華圏の人にとってはそれほど難しくはありません、彼らは漢字を既に知っていますので。

文法
「膠着語」の言語を使用している、韓国人、モンゴル人、フィンランド人、トルコ人などにとっては、日本語の文法はそれほど難しくはないでしょう。逆に「膠着語」ではない言語を使用している国の人は、多少難しさがあるかも知れません。

発音
日本語の発音は世界的に簡単な部類に入ると思いますので、どの外国人にとっても比較的簡単だと思います。ただし、自国の言語にない発音がある場合は多少難しいかも知れません(例えば、韓国語には「ザ行」や「ツ」の音がないため、韓国人にとっては「おはようございます」や「つづく」といった言葉がいいづらいようです)。
 

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