台湾駐在回想録(台湾人の働き方編)

共働き

台湾は共働きが多いです。会社の中の女性の比率も多いですし、女性の管理職の比率も日本に比べて多いと思います。日本以上に女性の社会進出度が高いです。しかし、この原因は給与の低さにあり、結婚後も共働きしないと家計をやりくりしていくのが大変というのが実情のようです。

台湾では出産後数か月で多くの人は職場に復帰します。そのため託児所も沢山あります。また、会社の中に搾乳室があり、定期的に搾乳して、それを家に帰ったら乳児に飲ませるそうです。私の部下も1名産休から復帰したばかりの時があって、よく搾乳しに行っていました。

日本では女性の社会進出を促す運動が盛んですが、台湾はこういった事情で、すでに女性の社会進出度が高くなっています。

 

自家製弁当

お昼は飲食店へ行ったり、コンビニで弁当を買ったり、お弁当を持参したりと、人により異なりますが、お弁当を持参する人の割合が日本より高いと思います。そのため、私の会社ではお弁当専用の保温機(冷蔵庫くらいの大きさでお弁当を複数保温できる機械)が置いてありました。また、お弁当は温めるのが基本なので、お昼時は電子レンジに人が並びます。

皆さんのお弁当を見ると結構シンプルなものが多く、大体ごはんの上におかずが1、2品そのままのせてあるようなお弁当が多いです。日本のようにごはんとおかずを別の容器にいれたり、キャラ弁のように色とりどりであったりといったことはなかったです。

 

暖房

台湾の冬は2か月くらいしかないので、多くの会社では暖房設備がありません。でも、実際寒いので、厚着したり、ジャンバー着たり、電気ストーブを持参して皆さん仕事をしています。私も冬は厚着をして、カイロを常に持って仕事をしていました。暖房設備を入れればいいのにと思うのですが、そこは台湾文化、暖房がない仕事場は今後継続していくでしょう。

 

飲み会

台湾人はお酒を飲まない人が多いです。推測するに過半数は飲まないでしょう。女性に至っては8割くらいはお酒を飲まないと言っても過言ではないかもしれません。ですので、仕事帰りに一杯とか、新人が来たから居酒屋で歓迎会とかいった、いわゆる「飲みニケーション」(若い人はわからないかもしれないので一応解説しますと、お酒を飲みながらコミュニケーションをとることです)はありません。だからといって歓迎会とかをしない訳でもなく、それはだいたい昼食時にどこかの飲食店で皆で食事をするといったやり方で行います。当然そこはノンアルコールです。

お酒を飲まない人が多い理由はいくつかありますが、バイク通勤者が多い、家庭を大事にしていて定時後は家族団らんで過ごす、給与が少ないので飲み会に出費したくない、お酒を飲まなければならないほど仕事でストレスをかかえていない、お酒を飲まなくてもコミュニケーションが十分にとれている、元々お酒が飲めない、などが主な理由かと思います。

じゃあ、お酒を全く飲まないかといえばそうでもありません。営業職の人はお客様の接待で夜に飲食店でお酒を飲む場合もありますし、取引先や日本から要人が来た時などはおもてなしの意味で飲み会を開くことがあります。また、忘年会の時は会社で宴会場を貸し切って、皆で盛大にワイワイとお酒を飲みます。台湾にも「熱炒」と呼ばれる居酒屋がありますし、比較的特別な時にお酒を飲みます。またその時は高梁酒(コーリャン:50度くらいある蒸留酒)が出てくる時もあり潰れる人もいます。

 

日本は好きだが日本では働きたくない

台湾人は日本が大好きで、人口2,350万人なのに年間のべ450万人くらいの人が日本に旅行します。日本は近いし、漢字があるし、サービスは良いし、食べ物はおいしいし、文化も豊富なので、台湾人のリピータが多いようです。私の会社の台湾人も年に1回は日本に旅行へいっていた人が結構いました。特に北海道は雪が降るので雪が降らない台湾からするととても魅力的な観光地のようです。

では台湾人が日本で働きたいかと言えば、そうではありません。日本の会社は給与は高いが求めるレベルも高く、ストレスも溜まりますし、残業も日常的に行われていて、肉体的にも精神的にも仕事をしづらいということを台湾人は皆知っています。台湾人にとって日本は旅行で訪れるのには最高ですが、仕事場としては魅力はないようです。実際に何人かの人に「もし機会があれば日本で働きたいか」と訊いたことがあるのですが、ほとんどの人は働きたいとは言いませんでした。ワークライフバランスが軽視されていてストレス社会の日本よりは、家庭優先で、ストレスが少ない台湾の方が仕事がし易いのだと思います。台湾のみならず海外の人に働きたいと思わせる国にしていかなければと日本人の私としてはちょっと思った瞬間でした。

 

以上、台湾駐在回想録(台湾人の働き方編)でした。少しでも参考になれば幸いです。